「もしも実現可能なら」ブログシリーズの第 1 回では、ハイブリッド・マルチクラウドを定義し、Nutanix がオンプレミスと複数のパブリッククラウド間でハイブリッド・マルチクラウドをシンプルかつコスト効率よく実現する唯一のベンダーであることを解説しました。今回は、複数クラウドのデプロイメントが真の「マルチクラウド」とは言えないことが多い理由、また、こうした状況が課題となり得る理由について詳しくご紹介します。
競争が激化し、移り変わりの激しい市場で生き残るために、企業はパブリッククラウドやプライベートクラウドサービスを利用して俊敏性、拡張性、革新性を高める方法を模索し続けています。今日、クラウドは業種や規模を問わず、実質的に全てのビジネスに不可欠な要素となっています。そして、クラウドに関しては、「ワンストップショップ」という概念は当てはまりません。
企業は複数のクラウドを利用して、ビジネス要件と技術要件の適切なバランスを見つけ、さまざまなワークロードに対応するために異なるクラウドサービスを利用しています。これにより、可能な限り効率的に業務を遂行できるようになります。複数のクラウドを利用するアプローチが急速に現代の企業におけるデファクトスタンダードになりつつあり、このアプローチを説明するために「マルチクラウド」という用語がよく使用されています。しかし、これには少し語弊があります。
「クラウドの複数利用」は真の「マルチクラウド」とはいえない
複数のクラウドにまたがる Infrastructure-as-a-Service(IaaS)を展開している組織は、必ずしもマルチクラウドを実行しているわけではありません。複数のクラウドが展開されているということは、管理やライフサイクル運用タスクのために相互接続されていないクラウドのサイロの集合を意味するだけであり、そのようなクラウドは緊密に統合されていない可能性があり、コストと複雑性を増大させます。
サイロ化されたインフラは多くの課題を生み出します。そのため、アプリケーションやワークロードを異なる環境に移行することが難しくなります。Nutanix がスポンサーを務めた 2023 年に行われた Enterprise Cloud Index の調査では、組織の 99% が過去 1 年間に少なくとも 1 つのアプリケーションを別のインフラに移行する必要がありました。しかし、これらの組織の 86% がアプリケーションの移動は「複雑でコストがかかる」と回答しています。
アプリケーションを考慮する場合、個々の VM ではなく、むしろ複数の階層で構成され、各階層には多数の VM が存在する可能性が高いです。これには、フロントエンドの Web サーバ、ミドルウェアのアプリケーション層、バックエンドのデータベースなどが含まれます。アプリケーションを移動することは、多くの場合、関連するデータも一緒に移動することを意味します。
統合されていない複数のクラウドは、データのサイロ化にもつながります。全てのデータを統合できなければ、データ分析のメリットを十分に享受できません。あるクラウドからデータをコピーし、別のクラウドに移動させることは、複数のコピーを取り扱わなければならないことを意味し、厳密に管理されていない場合はすぐに古くなる可能性があります。ガバナンスと規制の遵守、特にデータ保護、プライバシー、居住に関するコンプライアンスは、非常に複雑になる可能性があります。
サイロ化により、各クラウドのデプロイメント、管理、更新を個別に行う必要があり、多くの場合、ツール、プロセス、スキルセットが完全に異なるため、IT 部門にさらなる作業を生み出します。また、ネットワークやセキュリティポリシーの管理も複雑になります。
一方、真のマルチクラウドは、このようなサイロを排除し、複数のクラウドデプロイメントに伴う課題や不満を解決します。
もしも単一のコントロールプレーンでワークロードの管理、セキュア化、保護が実現可能だとしたら?
真のマルチクラウドとは、組織の全てのクラウドをシームレスに統合し、サイロ化されたクラウドでは実現できなかった柔軟性を提供することです。
シームレスな統合には、IT チームが IT エコシステムのどこからでも簡単にワークロードを管理、保護、セキュア化できる一貫した IT 運用モデルが必要です。オンプレミスのデータセンター、クラウド、エッジのいずれにおいても、マルチクラウドプラットフォームは、いつでもどこでもインテリジェントなワークロードの配置を簡素化します。
複数のクラウドを導入している企業では、一部のクラウドサービスやアプリケーション間の統合がサイロ化されていたり、クラウドの一部は連携しているものの、オンプレミスや他のクラウドシステムとはサイロ化されていたりする可能性があります。これでは、IT エコシステム全体の統合と簡素化が十分ではありません。
サイロ化したクラウドの集合体を、究極の柔軟性を備えた高性能でシームレスなエコシステムに変換するマルチクラウドプラットフォームが現実に必要です。前述した Enterprise Cloud Index の調査によると、94% の企業が「クラウド間でアプリケーションとデータを管理する単一の統一された場所を持つこと」にメリットを感じています。
また、真のマルチクラウドプラットフォームは、次の点においても役立ちます。
- 複雑さを軽減:サイロ化による余計な作業と労力を排除することで、複雑さを軽減します。サイロ化されたクラウドの展開を、一貫性のある制御を備えた共通のアーキテクチャに統合することで、ポリシーベースのセキュリティ、アップデート、可用性などが大幅に簡素化されます。
- より効率的な管理:ワークロード、アプリケーション、データの全てを完全に可視化し、全てのクラウドで多くのクラウド運用を自動化できる一貫性のあるプラットフォームで、より効率的な管理を可能にします。複数のインターフェースによる管理と制御の必要性を削減または排除します。
- コストを削減:IT チームの効率的な作業を支援し、多数のサイロ化されたスキルセットやツールセット、複数のクラウドを個別に管理する必要性を排除することで、コストを削減します。また、全ての環境でクラウド費用を可視化し、コストのガバナンスを把握できます。
Nutanix のハイブリッド・マルチクラウドなら可能です!
Nutanix はマルチクラウドをシンプルかつコスト効率よく実現します。Nutanix Cloud Platform™ ソリューションの統一されたマルチクラウドのコントロールプレーンにより、データとアプリケーションをどこからでも管理できます。日々の運用から複雑さを取り除き、アプリケーションとデータへのシームレスなアクセス、保護、セキュア化、管理を 1 か所で簡単に行えます。
Nutanix は、エンタープライズ IT の未来はハイブリッド・マルチクラウドにあると考えています。オンプレミスからエッジインフラに至るまで、同じシームレス性が提供されます。クラウドを統合して単一のエコシステムを形成するだけでなく、組織全体の全てのインフラを単一のプラットフォームで管理および制御できるようになります。
管理と運用の効率化
データセンター、クラウド、エッジエンドポイントを 1 つのシステムとして管理することで、一貫性のあるセキュアな運用環境を提供します。オンプレミスやパブリッククラウドでのライフサイクル管理運用など、ワンクリックで実行できる機能により、IT インフラの管理を効率化できます。これにより、最も重要な業務に集中できます。
パブリッククラウドでは、Nutanix Cloud Platform の展開でベアメタルインスタンスタイプを活用します。IDC1 によると、きめ細かなオンザフライのワークロード適正化によって、ネイティブ VM デプロイメントで構築されたような未使用のワークロードの無駄なリソースであるマイクロウェイストを削減し、IT 効率を最大 53% も劇的に向上させることができます。NVMe ベースの高性能ストレージにより、アプリケーションの高速性と応答性を保証します。また、インフラとアプリケーションの自動化により、IT サービスの提供が加速されます。
ワークロードのポータビリティを維持
ワークロードを必要な場所に迅速かつ容易に移動できるため、アプリケーションの再構築や開発サイクルのリファクタリングが長期化せず、ビジネスリスクとコストを低減させます。ワークロードのポータビリティは、データセンター、クラウド、エッジで同一のソフトウェアスタックが稼働することで実現します。つまり、ハイブリッド・マルチクラウドの任意の場所にワークロードをインテリジェントに配置する場合でも、ワークロードに変更は必要ありません。
変革への取り組みを加速
今では数日、数週間、数か月ではなく、数時間でハイブリッド・クラウドを構築できるようになりました。これにより、インフラ需要に対するジャストインタイム(JIT)アプローチが可能になり、必要に応じてパブリッククラウドに自動的にスケールアウトしたり、不要になったらスケールバックしたりできます。これは、季節的なワークロード、合併・買収、開発・テスト要件などのさまざまなクラウドインフラバーストのユースケースに適合します。また、ディザスタリカバリ(DR)ソリューションのコスト削減にも役立ちます。小規模から開始して DR フェイルオーバーが発生した場合にのみスケールアウトします。リニアスケーリング用に設計されたアプリケーションは、新しいパブリッククラウドの容量にオンデマンドで動的にスケールするように自動化することもできます。
クラウドコストの削減とコストガバナンスの向上
Nutanix の真のハイブリッド・マルチクラウドを使用すると、クラウド環境を管理するさまざまなベクトルでコストを削減できます。リソースを適切なサイズに設定し、クラウド展開の管理だけに費やす IT の時間と労力を削減したり、オンデマンドでスケーリングして必要な量のクラウドリソースのみを消費したりすることで、コストを削減できます。また、高い可用性を維持し、計画外のダウンタイムを削減する回復力の高いインフラによってコストを削減できます。
Nutanix と IDC2 が発表したレポートによると、Nutanix Cloud Platform を使用した組織は、次の成果を達成しました。
- 全体的な運用コストを 43% 削減
- インフラコストを 36% 削減
- 計画外のダウンタイムを 97% 削減
これらの削減により、投資利益率(ROI)は平均 5 年間で 365% を達成し、投資回収までの期間は平均わずか 12 か月でした。
Nutanix はまた、コストガバナンス機能を備えており、AWS®、Azure®、GCP® などのパブリッククラウドにネイティブにデプロイされたリソースを含め、全てのクラウドおよびデータセンター環境にわたる支出の可視化、ショーバック、チャージバックを提供します。
企業全体のセキュリティを強化
Nutanix Cloud Platform は、セキュリティの脅威を防止および検出するだけでなく、データ損失を防止し、継続的なビジネス運用を保証する組み込みのセキュリティを備えています。また、Nutanix Cloud Platform は、ホスト、ラック、およびアベイラビリティゾーン全体の保護を含む全てのソフトウェアレイヤーで強力なクラウドインフラの回復力を実現します。
ディザスタリカバリと事業継続を簡素化
インフラ全体で一貫性のあるスケーラブルかつワンクリックで実行可能な事業継続とディザスタリカバリ機能により、サイロ化された個別のバックアップとディザスタリカバリソリューションがもたらす複雑性、コスト、信頼性の低下を解消できます。Nutanix Cloud Platform は、オンプレミスのデータセンターとクラウドを最小限のフットプリントで保護し、必要に応じてオンデマンドで拡張できます。
Nutanix のハイブリッド・マルチクラウドによる効率化と簡素化
クラウドの導入を進めるにあたり、組織を成功に導くための準備を整えることが重要です。クラウドは、適切なツールやソリューションがあれば、競争力を維持し、今日の進化する顧客の要求に応えるための機能やサービスを提供できます。複数のクラウドの導入で、IT の業務を複雑にする必要はありません。Nutanix Cloud Platform を使用すれば、真のハイブリッド・マルチクラウドで競合他社よりも一歩リードできます。
次回の「もしも実現可能なら」ブログシリーズは、クラウドネイティブアプリのデプロイメントとネイティブクラウドサービスを簡素化する方法について解説します。
1 IDC、Nutanix Cloud Platform のビジネス価値、2022年10月
2 IDC、Nutanix Cloud Platformのビジネス価値、2022年10月
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