「もしも実現できるなら」ブログシリーズ
クラウドネイティブへの移行:
構築したアプリをあらゆる場所で容易にデプロイ
執筆者:Marc Trouard-Riolle
前回の「もしも実現できるなら」ブログシリーズでは、サイロ化された複数のクラウド導入が抱える課題に焦点を当て、真のハイブリッド・マルチクラウドプラットフォームがその解決にどのように役立つかを紹介しました。今回は、「クラウドネイティブ」とネイティブクラウドサービスの違いを探り、適切な IT アーキテクチャが両者をいかにシンプルにできるかを検証します。
俊敏性と競争力を維持するための戦略を企業が採用するなか、クラウドネイティブなコンテナ化アプリケーションはビジネス上の必須要件になりつつあります。実際に、第 5 回 Nutanix Enterprise Cloud Index によると、調査対象となった 1,450人の IT 意思決定者のほぼ全員(94%)が、最も一般的なクラウドネイティブフレームワークである「Kubernetes® コンテナ化を導入している」と回答しています。
コンテナ化されたアプリケーションを導入するには、組織全体で大きなパラダイムシフトが必要です。ただし、適切な文化、ツール、プラットフォームがあれば、クラウドネイティブなアプローチの採用により、現在と将来の成功に向けた準備を進めることができます。
しかし、適切なツールがなければ、本番アプリケーションを大規模にクラウドネイティブ化することは、コスト高で複雑かつ非効率な作業となり、組織の時間とコストを浪費することになりかねません。
クラウドネイティブの定義とネイティブクラウドサービスとの違い
簡単に言えば、クラウドネイティブアーキテクチャを使用して開発されたアプリケーションには、動的コンテナオーケストレーション(Kubernetes など)、マイクロサービス、宣言型 API が含まれます。これらはクラウドで実行するために特別に設計されており、直線的なスケーラビリティや必要に応じてリソースを動的に割り当てるなど、クラウド特有の特性を活用しています。
クラウド上で動作するアプリを作成するという文脈では、「クラウドネイティブ」と「ネイティブクラウドサービス」がある程度同じ意味で使われるのが一般的ですが、実際には両者は同じものではないことに注意する必要があります。
ネイティブクラウドサービスを開発するには、特定のパブリッククラウドプロバイダの API(AWS や Azure など)とやり取りするコードを記述する必要があります。ネイティブクラウドサービスは、選択したプロバイダに強固に縛られており、サービスを別のクラウドに移したい場合は、別の API に対応する新しいコードを記述する必要があります。要するに、別のプロバイダにサービスを問題なくシームレスに移行することはできません。これは、ネイティブクラウドサービスがいかにベンダーロックインを引き起こすかを浮き彫りにしてます。
一方、クラウドネイティブなアプリケーションは、ユニバーサル API とともにコンテナとオーケストレーションを活用することで、理論的には、一度作成すればどこでも実行できます。しかし、全てのクラウドネイティブ アプリが同じように構築されるわけではなく、一部のアプリは他のアプリよりも移植性が高いことが重要です。
クラウドネイティブアプリケーションの課題
一般的なクラウドネイティブの課題には、次のようなものがあります。
- アプリケーション開発ライフサイクルとテストに関連する期間とコスト。
- 従来のアプリケーションからクラウドネイティブなアプリケーションへの移行に伴う IT チームのスキルセットとツールセットの不足。
- 高度に分散したシステムのデプロイメント、監視、管理が困難。
- コストの最適化とクラウドリソースの効率的な監視・制御能力の欠如による資本コストと運用コストの増加。
- 1 つのクラウドプロバイダーからしか提供されないネイティブクラウドサービスと API を使用してアプリケーションを開発すると、クラウドのロックインが発生するおそれがある。
- システムが正常に動作するようにインフラを正しくセットアップし、中断することなく後で更新する。
コンテナ化されたクラウドネイティブアプリケーションは、特定のクラウドプロバイダに縛られたネイティブクラウドサービスよりも柔軟性と移植性が高いはずですが、それでもクラウドのプロバイダ間でアプリケーションを移動させる際には、不必要な複雑さと非効率性を引き起こす場合もあります。
モダンアプリを一度構築すれば、どこにでもデプロイできるとしたら?
組織がクラウドに移行する理由はさまざまですが、ほとんどの場合、クラウドが提供する俊敏性を活用することが主な目的です。しかし、適切なツールやシステムがない場合、クラウドは全体として物事をより難しく、高コストなものにしてしまう可能性があります。
必要に応じてクラウドからクラウドへ移動できるクラウドネイティブアプリケーションは、ロックインされたクラウドアプリケーションにはない豊富なメリットを提供します。エンタープライズグレードのクラウドネイティブアプリケーションを一度開発するだけで、いつでもどこでもデプロイできるため、インフラのニーズや要件の変化に対応できる俊敏性が得られます。また、自動化により、手間をかけずにこれまで以上に迅速なデプロイメントが可能になります。迅速で効率的なデプロイと、必要に応じてオンプレミスのデータセンターに戻すことも含めた他の環境への簡単な移行により、DevOps チームはイノベーションにより多くの時間を集中できるようになります。
Nutanix のハイブリッド・マルチクラウドなら可能です!
Nutanix のハイブリッド・マルチクラウドプラットフォームを活用して、一度設計したアプリケーションを、オンプレミス、エッジ、パブリッククラウドのどの環境にもデプロイできます。大規模な再設計や再構築を行うことなく、アプリケーションを最新化し、クラウド間で移動できます。また、人工知能(AI)、機械学習(ML)、その他のクラウドサービスやテクノロジーとアプリケーションをシームレスに統合し、任意のペースでリファクタリングすることも可能です。
Nutanix は、アプリケーション開発を加速し、コンテナベースのアプリケーションを単一のプラットフォームで構築、実行、管理することを可能にし、開発者が必要とするクラウドネイティブなサービスを迅速かつ効率的に提供します。統合管理プレーンにより、複雑なサイロが排除され、オンプレミスのデータセンターからあらゆるパブリッククラウド、エッジまで、どこにいてもワークロードを管理できます。
また、Nutanix はクラウドでの開発のコスト効率も向上させます。パブリッククラウドを使用している企業は、「テストと開発」アプリケーションに、ビジネスクリティカルな本番アプリケーションと同じコストを支払うことになるといわれていますが、Nutanix のユーザーからは、平均で43% の総所有コスト(TCO)の削減と、53% の IT 管理の効率向上が報告されています。
Nutanix のハイブリッド・マルチクラウドでは、既存のハイパースケーラアカウントを使用して、既存のパブリッククラウドと容易にに統合できます。また、VM ベースのアプリケーションとデータをクラウドサービスへの統合も容易に実行できます。
クラウドネイティブをめざすなら、適切な方法、組織を究極の成功に導く必要があります。Nutanix® ハイブリッド・マルチクラウドソリューションは、デジタル化が進む現在の世界で、モダンアプリケーションの開発、テスト、デプロイ、管理をシンプル、効率的、かつコスト効率よく実現します。
次回(そして最終回!)の「もしも実現可能なら」ブログシリーズでは、IT 環境全体のワークロード配置を自動化するメリットについてご紹介します。