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デジタルカーボンフットプリントとは?削減方法とは?

2023年10月13日 | min

IT の導入に関する意思決定において、かつては、主にコストやワークロードの配置が重視されていました。しかし昨今では、重大な結果を招くおそれのある気候変動の脅威により、状況が一変しています。

サステナビリティの推進と気候変動対策は、企業にとっての喫緊の課題であり、今後数年間のコーポレートガバナンスに多大な影響を及ぼすことが予測されます。経営幹部は、自社の目標を見直し、カーボンニュートラルの実現と地球温暖化の抑制に積極的に取り組まなければなりません。

デジタルカーボンフットプリントとは

デジタルカーボンフットプリントとは、デジタル機器、ネットワーク、サービスの使用や運用に伴って生じる温室効果ガス(GHG)排出やエネルギー消費など、デジタル技術やオンライン活動が環境に及ぼす影響をさします。デジタルカーボンフットプリントでは、生産から流通、使用、廃棄に至るまで、デジタル技術のライフサイクルの全過程で排出される二酸化炭素(CO2)をトータルで考慮します。

ネットワークやデジタルデバイスを利用して行う活動は、その全てが環境に何らかの影響を及ぼし、デジタルカーボンフットプリントの一部となります。Plan Be Eco 社のブログ記事に次のような情報が掲載されています。

  • テレビでストリーミングサービスを 1 日に 1 ~ 2 時間視聴した場合の電力の年間の消費量は、冷蔵庫を半年稼働させるのに相当する。

  • Netflix の 2020 年のカーボンフットプリントは 110 万メトリックトン(MT)で、15 万戸の都市に相当する。

  • TikTok のカーボンフットプリントはソーシャルメディアアプリでは最大で、アクティブユーザー 1 人あたりの排出量は CO2 換算で毎分 2.63 グラムに及ぶ。TikTok の登録アカウント数は既に 10 億を超えており、全体では莫大な排出量となる。

組織におけるカーボンフットプリントで考慮すべきは、電力消費だけではありません。データセンターにおける水の大量消費も懸念されており、多くの組織が電力と水の消費を低減する効果的な方法を模索しています。また、電子廃棄物の削減も重要です。電子廃棄物とは、電子機器などのハードウェアの廃棄物を意味し、土壌や地下水に浸出するおそれのある有毒化学物質や有害物が含まれています。

デジタルカーボンフットプリントが制御されないままだと、深刻な環境問題につながる恐れがあります。インターネットによる環境汚染を抑制し、データセンターからの炭素排出を削減することが不可欠です。

関連リソース

ESG(環境・社会・ガバナンス)レポート 2021

カーボンフットプリントを削減する方法

IT 部門がデジタルカーボンフットプリントを削減するには、次のような方法があります。

  1. エネルギー効率に優れたハードウェアの利用:サーバーやデスクトップパソコン、ノートパソコン、ネットワーク機器を省エネ製品にアップグレードする。稼働中の電力消費量が少ないデバイスを選択し、使用していないときの電力消費を抑えるように電源管理設定を最適化する。

  2. 仮想化やクラウドコンピューティングによる節減:仮想化を利用してサーバーを統合することで物理マシンの数を減らし、エネルギー消費を抑制する。クラウドコンピューティングを導入して、共有リソースや高エネルギー効率のデータセンターを活用する。

  3. データセンターのオペレーションの最適化:効率的な冷却システムやエアフロー管理技術と、配電システムの定期的なメンテナンスを通じて、エネルギー効率を改善する。

  4. 再生可能エネルギーの活用:データセンターなどの IT オペレーションの電力源として、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに投資する。再生可能エネルギーのプロジェクトを支援する再生可能エネルギー証書(REC)の取得を検討する。

  5. データストレージと管理の効率性を維持:データの重複排除技術や圧縮技術の導入により、必要なストレージを削減して、エネルギー消費を最小化する。ストレージの階層化やデータのライフサイクル管理など、効率的なデータ管理手法を活用する。

  6. 責任ある廃棄とリサイクル:電子廃棄物に関する適切なリサイクルプログラムを導入し、IT デバイスや電子機器の廃棄に責任を持つ。電子廃棄物の処分では環境規制を遵守する。

  7. グリーン調達の採用:環境に配慮した高エネルギー効率の IT 機器を優先的に購入する。生産から使用、廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体の影響を考慮する。

  8. テレワークやリモートワークの推進:在宅勤務を推進することで、通勤に伴う温室効果ガス排出やエネルギー消費を削減する。ビデオ会議やコラボレーションツールの利用を推奨し、移動の必要性を最小限に抑える。

  9. 従業員の意識向上とトレーニングの強化:デジタルカーボンフットプリントを削減する重要性について従業員を教育する。省エネルギー行動についてトレーニングし、従業員に実践を促す。

  10. 継続的な測定と監視:エネルギー使用量や CO2 排出量、総合的な環境インパクトの測定と監視のためのツールやシステムを導入する。目標を設定し、進捗を定期的に評価して、改善が必要な部分を特定する。

コンピューティングの環境インパクト

コンピューターは生活とビジネスのさまざまな面を格段に進歩させ、恩恵をもたらした一方で、別の影響も及ぼしています。専門家の推計によると、2021 年現在で世界には約 720 万のデータセンターが存在します。これらのデータセンターは、コンピューティングに対する企業の幅広い要件を満たすうえで重要な役割を果たしており、データストレージやバックアップ、ネットワーキング、メールサービス、Web サイトホスティングなどの円滑な運用を支えています。

データセンターの数の多さは電力消費の面で大きな懸念です。データセンターの規模は一律ではないものの、数千台から数万台のサーバーを収容した巨大な施設が多く、莫大な電力を消費しています。国際エネルギー機関(IEA)の推計では、世界のデータセンターの消費電力は年間約 200 テラワット時(TWh)で、世界の総電力需要のほぼ 1% に相当します。

企業は、データセンター関連のエネルギーコストの上昇と、環境問題に関する規制の強化を受けて、よりサステナブルで環境に配慮したオペレーションの手法を模索しています。クラウドストレージは、ハイパースケーラーが管理する巨大なデータセンターに大きく依存しており、環境に大きな影響を及ぼします。クラウドサービスのサステナビリティは、エネルギー効率に優れたオペレーション手法を確立し採用するための業界の取り組みにかかっています。

関連リソース

データセンターのサステナビリティの向上

企業のデジタル責任とは

企業のデジタル責任(CDR)とは、事業でのデジタルの利用に関して、倫理的で責任あるサステナブルな方法を用いることへのコミットメントです。その対象には、デジタル技術の使用や、データプライバシー、サイバーセキュリティ、環境インパクト、社会的配慮に関する行動や慣行が含まれます。企業のデジタル責任は法令遵守にとどまらず、デジタル活動に伴う社会的・環境的懸念に対処するためのプロアクティブな取り組みも含まれます。

カーボンネットゼロとは

カーボンネットゼロとは、温室効果ガスが排出される量と、除去また相殺される量とのバランスがとれている状態で、ネットゼロ排出やカーボンニュートラルとも呼ばれます。この状態のときには、大気中に排出される CO2 などの温室効果ガスの正味量はゼロ(実質ゼロ)です。削減対策には、脱炭素、クリーンエネルギーの利用、省エネ機器の導入、全般的なリソース使用量の削減などがあります。

世界各国が人為的な温室効果ガス排出の回避を宣言し、削減対策を講じて地球の大気バランスを取り戻し、気候変動を阻止しようとしています。米国を含む多くの国が、2050 年カーボンニュートラルをめざしています。

デジタル脱炭素とは

デジタル脱炭素とは、デジタル技術やデジタル活動に付随して生じる CO2 排出量を削減して環境インパクトを抑制するプロセスです。デジタル脱炭素では、デジタル技術の生産、使用、廃棄など、ライフサイクルの全過程を通して、サステナブルな手法の採用や、エネルギー効率の改善、環境に配慮した施策を進めます。デジタル技術はデジタル脱炭素の取り組み自体にも役立ちます。例えば電力会社の送電網は、デジタル通信やデータ分析、システム自動化ソフトウェアの導入によって、運用が大幅に効率化しています。

データセンターのエネルギー消費を削減する方法

データセンターのエネルギー消費は企業のカーボンフットプリントを増大させる大きな原因です。データセンターのエネルギー消費を削減して、サステナブルなデータセンターを構築するには、次のような方法があります。

  • 仮想化と統合:サーバーを仮想化して、リソース使用率を最適化し、物理サーバーの数を減らす。この統合によって、複数の仮想マシンを 1 台の物理サーバーで実行できるようになり、エネルギー消費が削減される。

  • 電源管理:電源管理の機能やツールを利用して、ニーズが少ないときやアイドル時の電力消費を最適化する。ダイナミック電圧スケーリング、周波数スケーリング、サーバーのパワーキャッピングなどの技術を導入する。

  • 効率的なデータストレージ:データ重複排除や圧縮、ストレージ階層化の戦略を導入することによって、必要なストレージを削減し、エネルギー消費を最小化する。

  • 再生可能エネルギーの導入:データセンターの稼働に再生可能エネルギーを導入する方法を探る。データセンターの電力源として、ソーラーパネルの設置、風力発電の活用、外部からの再生可能エネルギーの調達を行う。

  • エネルギーの監視と管理:エネルギー監視システムを導入し、データセンターのエネルギー使用を追跡・分析する。このシステムで得た情報から非効率な部分を特定し、是正策を講じる。

ESG(環境・社会・ガバナンス)とは

ESG(環境・社会・ガバナンス)とは、企業のサステナビリティと倫理的行動について 3 つの重要な観点から評価するための枠組みです。

  • 環境:企業が環境に与える影響を評価する。CO2 排出量、エネルギー消費、廃棄物管理、水使用量などの要素や、環境保全とサステナビリティに対する企業の取り組みが対象に含まれる。

  • 社会:ステークホルダーや社会全体に対する企業の関わり合いや影響のあり方を扱う。エンプロイーリレーションズ(従業員との関係性構築)、労働慣行、コミュニティへの関与、人権、ダイバーシティとインクルージョン、製品の安全性、顧客満足などの要素が対象に含まれる。

  • ガバナンス:企業のリーダーシップとマネジメントの構造や慣行。取締役会の構成、役員報酬、株主の権利、透明性、リスク管理、倫理基準の遵守などの要素が対象に含まれる。

この 3 つの面でのパフォーマンスが企業の長期的な財務成績や評判にも影響するとの認識が投資家やステークホルダーの間で形成され、ESG は注目を集めました。投資家は ESG の各要素を検討し、サステナブルで責任ある行動をとっている企業を見極めようとしています。企業のこのような行動は、リスクの緩和や業績の向上に寄与し、社会全体の目標とも合致します。

Nutanix は企業のデジタルカーボンフットプリント削減にどのように役立つか

Nutanix では、全ての活動にサステナビリティを取り入れることの重要性を認識しています。その対象には、私たちが開発する製品やソリューションも含まれます。

Nutanix はハイパーコンバージドインフラ(HCI)開発のパイオニアです。HCI は、コンピューティング、ストレージ、ストレージネットワーク、仮想化など、データセンターのスタック全体の統合と、段階的な展開を可能にします。Nutanix の HCI テクノロジーは、ソフトウェアの仮想化技術や Web スケールの設計によって、コンピューティングやストレージの物理リソースの使用量を最小限に抑え、消費電力を削減します。ハードウェアは SAN ファブリックを必要としない物理設計になっており、物理的なフットプリントを縮小しています。さらに Nutanix は、ラック設計内の電力密度を業界標準以上の水準に高め、統合率の 68% 向上を達成しています。

HCI は、ワークロードを実行するためのハードウェアを大幅に抑制し、消費電力や CO2 排出量、電子廃棄物を削減します。

Nutanix のソリューションにより、オペレーションに必要なデータセンターの物理スペースや消費電力、水使用量を減らすことができます。Nutanix の導入は、カーボンフットプリントの削減につながります。

注目のリソース

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Nutanix、JM Finn 社のデータセンター移行の負担を軽減

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データセンターの効率性を探る:PUE と HCI の効果

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ビジネスに不可欠となった IT サステナビリティ

関連製品とソリューション

サステナブルな IT 戦略の構築

IT(情報技術) は、インフラのモダナイズによって、環境、エネルギー、経済の諸問題に対応することで、サステナブルな取り組みに大きく貢献する可能性を持っています。

Nutanix クラウドインフラ(NCI)

IT サービスの調達、デプロイ、管理を簡素化する最先端の HCI プラットフォームです。

Nutanix Cloud Clusters(NC2)

オンプレミスとクラウド間でのアプリケーションの移植、拡張、バーストの際の複雑さを大幅に緩和します。

ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を導入する

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