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トヨタ自動車、Nutanix Cloud Platformの導入により、VDI上で3D CADソフトウェアを使った設計作業環境を構築

設計エンジニアの働き方改革と業務効率化を強力に推進 

業界

自動車製造業界 

課題

  • 3D CADソフトウェアに求められる高性能な環境の整備
  • 設計開発部門における働き方改革の推進
  • ワークステーション端末の維持管理にかかる手間および調達コスト

ソリューション

  • Nutanix Cloud Platform
    • Nutanix AOS
    • Nutanix Prism
  • Nutanix専任運用支援サービス (TAM)

アプリケーション

  • 3D CADソフトウェア CATIA
  • VMware Horizon View

導入によるビジネスのメリット

  • VDI上での3D CADソフトウェア利用による新たな働き方の実現と業務効率化
  • VDIへの移行による端末数およびコスト削減
  • ビジネス環境の変化や需要拡大に素早く対応できる柔軟性および拡張性

「従来の三階層モデルと比べて仕組みがシンプルで、運用効率の向上が期待できるHCIのメリットに着目しました。またスモール スタートでき、かつ規模を柔軟に拡張できるため、ビジネス環境の変化に素早く追随できる点も高く評価した結果、最終的に Nutanix Cloud Platform の採用を決めました」

トヨタ自動車株式会社 DX開発推進部 孝久 正信 氏

課題

グループ全体で約36万人もの従業員を抱える自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社は、その優れた研究開発や生産、販売の戦略はもとより、人事施策の面でも常に注目を集めてきました。2016年には働き方改革へのコミットを表明し、約1万3000人の従業員を対象として在宅勤務の制度を拡大しています。同社人事部篠原純氏は、在宅勤務制度への理解や浸透の度合いは、部署によって異なり、「ある部署では30%の実施率を目指す一方、別の部署では5%にも満たないといったように、部署によってバラつきがありました。『生産性向上や仕事と育児・介護の両立に有効』との声も出てきてはいましたが、『そもそも自分たちの仕事に在宅勤務は適さない』という先入観で在宅勤務はやらないといった意見も少なくありませんでした」と語ります。

特に設計開発部門では、3D CADソフトウェアを使って設計業務を行っていたため、オフィスに設置している高性能ワークステーション端末の利用が不可欠だと考えられていました。3D CADソフトウェアを実用レベルで動かすためには、高性能CPUや大容量メモリに加えて、3Dグラフィックスを高速描画するためのGPUが必須であり、このことが設計開発部門における在宅勤務普及のネックとなっていました。

実際に設計開発部門で働くエンジニアたちも、ワークステーション端末に物理的に縛られる働き方の制約に疑問が生じていたといいます。ZEV B&D Lab 上畑賢美氏は、出産と育児に伴い2016年から在宅勤務制度の利用を始めましたが、「当時は自宅で3D CADを利用できる環境がありませんでした。そのため、育児のために自宅に仕事を持ち帰るといっても、できることはかなり限られていました」と語ります。加えて、社内のIT機器を管理するDX開発推進部も、ワークステーション端末の維持管理や調達コストなどの課題を抱えていました。

ソリューション

こうしたさまざまな課題を解決するため、同社は2016年より仮想デスクトップ(VDI)の導入検討を始めました。VDI上で3D CADソフトウェアを動かすため、「従来の三階層モデルと比べて仕組みがシンプルで、運用効率の向上が期待できるHCIのメリットに着目しました。またスモールスタートでき、かつ規模を柔軟に拡張できるため、ビジネス環境の変化に素早く追随できる点も高く評価した結果、最終的に Nutanix Cloud Platform の採用を決めました」とDX開発推進部 孝久正信氏は語ります。

孝久氏は、選定理由について「NutanixはHCIの分野のパイオニアであると同時に、HCI製品としての機能や安定性、実績において抜きんでていました」と振り返ります。HCIの仮想環境上でGPUを使い3Dグラフィックスを描画するためには、「vGPU」と呼ばれる機能を使う必要がありましたが、当時HCI上でvGPUをサポートする製品はNutanixのほかには極めて少なく、Nutanix Cloud Platform の採用を決定しました。Nutanixの専任運用支援サービス(TAM)も併せて導入し、運用・監視体制の早期立ち上げから安定稼働まで、月次の運用改善を行いました。

導入効果

物理ワークステーション端末をVDI環境で構築し、3D CADソフトウェアが稼働するVDI環境を設計開発部門の現場に提供したところ、 ユーザーから「新たな働き方が可能になった」との声が上がっています。

先進ボデー開発部 辻󠄀奈緒美氏は、「コロナ禍に伴い、子どもが通う小学校が2020年3月から休校になり、私自身も在宅勤務せざるを得なくなりましたが、VDIを通じて3D CADを利用できる環境が整備されていたおかげで、自宅でもほぼ不自由なく設計業務を行えています」と語ります。

商用ZEV基盤開発部 市田有吾氏は、「製造現場に出向いて現場の方々とやりとりする際、やむなく紙の図面を使って説明していました。『この場で3D CADを使って説明できればもっとスムーズに意思疎通が図れるのに』とずっと思っていました。現在は、現場の担当者と3D CAD のモデルを一緒に見ながらより具体的に細かい議論ができるようになりました」と語ります。

さらに、ZEV B&D Lab上畑賢美氏は、「取引先や他部署との打合せの際、従来は図面をあらかじめ印刷して外部に持ち出す必要があり ましたが、今ではその場で3D CADの画面を示しながらコミュニケーションできるようになりました。その場で判断ができるようになったことで より効率的に働けるようになり、持ち帰る仕事が減りました」と業務効率の向上に大きな効果があったと高く評価しています。

なお2020年のコロナ禍に際して同社は大々的に在宅勤務を推進し、その際に設計開発部門向けのVDI環境を急遽拡張する必要に迫られました。当初翌年予定していた拡張計画を大幅に前倒しし、わずか2カ月ほどで約1,000台分のVDI環境を構築しました。DX開発推進部 孝久氏は、「短期間の内に環境を構築できるHCIのメリットが大いに発揮されました」と語ります。

今後の展開

同社は、今後も段階的にVDIへの移行を進め、共用端末や低稼働端末をVDIに集約していくことで最終的に端末数を約半分に削減 し、大幅なコスト削減を目指しています。

「今後はトヨタだけでなく、トヨタグループにも同様の仕組みを展開していく予定です。現時点では、VDI上での3D CADソフトウェアの利用は実現できているものの、コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)ソフトウェアは処理負荷が極めて高く、まだ利用できていません。しかし、将来的にはこれもVDIで使えるようにして、設計開発部門の働き方改革をさらに推し進めていきたいと考えています」と孝久氏は 語って下さいました。