VMware ユーザーが直面する
バンドルサブスクリプションへの移行
執筆者:Nutanix プロダクトマネジメント VP Avinash Shetty、Nutanix プロダクトマーケティング シニア VP Lee Caswell
Broadcom から新しい料金プランが発表されていますが、業界関係者やユーザーの多くは、この新しいプランでは料金が最大で 50% 割安になるという VMware の主張に少なからず驚いたようです。料金の引き下げは、Broadcom が断行すると予想されたシナリオではなく、VMware の利益を EBITDA 換算でほぼ倍増させるという Broadcom の公表された計画とも矛盾しているように思われます1。
スタンドアロンオプションが廃止されて高価格のバンドルに置き換えられるとともに、vSANTM のライセンスが容量ベースのモデルに移行したことで、VMware のユーザーにとって新しい料金は過去の無期限ライセンスの場合とは大幅に異なる可能性が高くなっています。ユーザーにとっては、インフラの前提条件を慎重に計画することがかつてないほど重要になるといえます。
前提条件の内訳
公開されている情報はやや限られますが、vSphere FoundationTM の料金が 135 ドル/コア2 であることが公開されたため、以前から公開されている無期限ライセンスと比較することで、料金の改定がユーザーに与える潜在的な影響を推定できます。
ここでは、以下の前提を使用しています。
- 5 年間の契約期間:お客さまには、現実的な利用状況に合った契約期間を使用して料金を比較することをお勧めします。Broadcom のコスト比較は、コストへの影響が最小限になる 3 年契約に基づいていると考えられます。私たちの経験では、通常お客さまは減価償却資産の更新サイクルを 5 年と想定されています。
- CPU のコア数は 24:CPU あたりのコア数は平均 24 コアと仮定しました。より多くのコアを搭載する CPU を利用することも可能ですが、その場合は料金に対する影響度はより増大します。
- 値引きは考慮せずに定価で比較:サブスクリプションライセンスの割引率は無期限ライセンスの割引率よりも低くなると予測されるため、新しいライセンスモデルの影響はさらに深刻化します。
影響を考慮すべき 3 つのシナリオ
ここでは、ユーザーの選択肢として可能性のある 3 つの新しい VMware by Broadcom バンドルについて詳しく見ていきます。
- スタンドアロン vSphere Ent+ のユーザーの場合:スタンドアロン製品としての vSphere Ent+ は提供されなくなったようです。DRS(Distributed Resource Scheduler)や分散スイッチの機能を使用するユーザーは、より高額のバンドル製品を購入する必要があります。
現在 vSphere Foundation バンドルを購入するユーザーは、明らかに不要な VMware vSANTM と VMware AriaTM(旧称 VMware vRealize)のエンタイトルメントを購入することになります。
図 1:vSphere Ent+ ユーザーは支払いが 5 年間で 2 倍以上になる見込み
Nutanix の試算では、5 年間で支払いが 2 倍になります。上記のグラフは、典型的な 24 コア CPU での 3 年間と 5 年間の契約期間について、無期限ライセンスとサブスクリプションライセンスの料金差を示しています。3 年間での差額は 1.5 倍程度であるのに対し、5 年間では 2 倍以上の差額が生じることになります。この差は、32 コア CPU での 5 年契約と仮定するとさらに拡大し、値引き前という前提では 3 倍近くになります。
SAN/NAS のユーザーは vSphere Ent+ を入手するためだけに vSphere Foundation バンドルを購入しなければならない状況になってしまったので、レガシーの 3 層インフラのコストは跳ね上がったといえます。この推定の差額分以外にも、不要な vSAN のエンタイトルメントがシェルフウェアになるリスクがあります。
- vSAN ユーザーの場合:vSAN のユーザーは、今日の HCI ユーザーに一般的な 40TiB~50TiB を大幅に下回る容量に制限された vSAN のエンタイトルメントを取得します。vSphere Foundation バンドルでは、24 コア CPU を 2 個搭載する場合にユーザーが利用できるのはノードあたりわずか 4.8TiB の容量になり、vSphere Ent+ に対して 2 倍にもなる料金に加え、使用する容量に応じて追加料金を支払うことになります。
さらに、vSAN ユーザーは、Aria Suite Enterprise、NSX Networking、Firewall、Firewall with ATP、24 時間 365 日のグローバルサポート、SRE へのアクセスをスタンドアロン製品として購入することができなくなりました。これらを一つでも利用したい場合は、新しい VMware Cloud Foundation™(VCF)バンドルにアップグレードする必要があります。
典型的なユーザーへの影響を正確に見積もるには、TiB あたりの追加料金がいくらになるのか Broadcom から情報を得る必要があります。
- VCF への移行を迫られているスタンドアロン製品ユーザーの場合:VMware は既存の VCF ユーザーに向けて 50% 割引のキャンペーンを実施していますが、新バンドルから機能が削られていることにも注意する必要があります。比較するうえでは、既に販売終了になった個別の製品をユーザーが購入できていたらと仮定して比較することが適切と考えられます。
例えば、これまで Aria Suite や NSX Security Suite を単体で購入していたユーザーは、個別の製品価格ではなく、VCF バンドルの料金 350 ドル/コアを一律で支払うことになります。該当するユーザーは、新しいバンドル価格と過去の購入価格を慎重に比較する必要があります。
また、VCF バンドルを使用するには、VMware SDDC ManagerTM を使用してフルスタックの VCF をデプロイおよび管理する必要があるため、VCF バンドルのインストールとメンテナンスのためのリソースが必要になることにも注意が必要です。
本質は細部に宿る
料金設定というものは複雑性に富んでおり、定価での比較はあまり役に立ちません。Nutanix にはクラウドエコノミストの専門チームがあり、お客さまが Broadcom への「バンドル移行」をすることの影響を試算できるようサポートしています。Nutanix はこれまで、ハイブリッド・マルチクラウドインフラを構築するための新しい方法を模索する 25,000 社近くのお客さまに支援を提供してきました。Nutanix と VMware を組み合わせるソリューションもその方法の 1 つです。
両社共通のお客さまにとって、Broadcom の新しい料金設定は、既に多くのお客さまに利用されているエンタープライズグレードの Nutanix AHV® ハイパーバイザーへの移行を決定づける要因になるかもしれません。Nutanix では、現在お客さまが選択可能な機能の柔軟性と選択肢を広げています。
透明性の高い価格設定を提供し、卓越したサポートと製品イノベーションへのコミットメントを継続する Nutanix は、今後も引き続き、お客さまが新しいワークロードのための新しい道を切り開くお手伝いをします。
1 出典::https://www.reuters.com/breakingviews/broadcom-gives-only-limp-defense-vmware-deal-2022-05-26/
2 出典::https://www-heise-de.translate.goog/news/Abozwang-Broadcom-stellt-Lizenzmodelle-fuer-VMware-um-9573757.html?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=en&_x_tr_hl=de&_x_tr_pto=wapp
Nutanix の見積もりは、各 7.6 TiB の SSDを 6 台搭載をベースにしています。出典:https://www-heise-de.translate.goog/news/Abozwang-Broadcom-stellt-Lizenzmodelle-fuer-VMware-um-9573757.html?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=en&_x_tr_hl=de&_x_tr_pto=wapp
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